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ひとりあそび


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カテゴリ:本( 319 )

「むらさきのスカートの女」

芥川賞受賞後の今月の初め買って、すぐ読み終わってはいたのだがそのままになっていた。
他に読む本がなかったからとも言えるが、なぜかちょっと読んでみたくなったのである。
文春で読めば良かった、と後で思ったのは、雑誌は捨てられても単行本は捨てられないからである。

この作品が芥川賞というのも、私的には正直物足りない気がしないでもない。
それとも、芥川賞もだいぶ様変わりしているのかもしれない。
ただ、読後感の悪い作品ではなく、この作者の透明な目線には惹かれるものがある。


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むらさきのスカートの女に異常な興味を示す黄色いカーディガンの女(語り手)の物語である。
ところがラストには、むらさきのスカートの女は忽然と姿を消し、黄色いカーディガンの女が取って代わっているのである。
なので、この物語のタイトルは「むらさきのスカートの女」でも、「黄色いカーディガンの女」でもよいのではないかとさえ思える。

紫と黄色は補色である。
私は美術系なのだが、配色には補色を選ぶことがけっこう多い。
なかでも、紫と黄色はワリと好きな配色で、作品に使うこともよくあった。

今ふと、私の大好きな絵本「あおくんときいろちゃん」を思い出した。
あおくんときいろちゃんは混ざり合ってみどりになるのである。
むらさきのスカートの女と黄色いカーディガンの女も混ざり合ってグレーになったのだろうか?




by fu-minblog | 2019-08-17 17:07 | | Comments(0)

「おんぶにだっこ」

さくらももこさんのエッセイの新刊文庫本が3ヶ月連続刊行になり、4月は「ひとりずもう」を読んだ。
5月はその第2弾が先日発売になり、早速買って読んだのがこの「おんぶにだっこ」である。
「ひとりずもう」がちびまる子がさくらももこになるまでの自伝エッセイならば、「おんぶにだっこ」はまる子以前の幼少期の自伝エッセイである。

それもかなり小さい頃、一番小さいのは2歳というから驚いた。
フツー2歳の頃の記憶ってあるものだろうか?
しかるにももこさんは、おっぱいをやめた日の2歳頃のことを、実に詳しく書いている。
ちなみに、私はまったく記憶にないのである。

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事程左様に、2歳から小学1年生までの様々な日常や思い出が書かれているのだが、とにかくその記憶力には感心する。
特に、その時感じた想いが、実に色鮮やかに書かれている。
楽しいこと嬉しいことと同時に、悲しかったことや悩みなどが書き綴られているのである。

そんな小さな子どもがそれほど悩んでいたかと思うと胸が痛くなる。
人一倍ピュアでナイーブな女の子だったももこさんの幼年期は、けっして明るいだけではなかったのだ。
けれど三つ子の魂百まで、将来のさくらももこの萌芽はすでにここにあったのだと、私は思う。




by fu-minblog | 2019-05-23 17:42 | | Comments(0)

「ひとりずもう」

先週のこと、新聞の本の広告欄で偶然さくらももこさんのエッセイが新刊文庫本で出たことを知った。
しかも、3ヶ月連続刊行というではないか!
その第1冊目が4月発売のこの「ひとりずもう」である。
本屋に走ろうかとも思ったが偶々用事があったので即アマゾンに注文、翌日届くという早業。
そして昨日一気読み、というわけなのだった。

昨年さくらさんが亡くなられた後、エッセイばかりをほぼ全部読んでから半年あまり。
こうしてまた新しいエッセイが読めるなんてなんと嬉しいことか!
しかもこの「ひとりずもう」は自伝エッセイ、さくらももこという漫画家誕生秘話が書かれている。
まるこがさくらももこになるまでの涙と笑いの青春の日々が、飾らず気取らずストーレトに、ユーモアたっぷりに書かれている。
そして、「ひとりずもう」とは何と言い得て妙なタイトルであることか。

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私はこの本を、ちょうど自分の進路を決めかねている若い人たちにぜひ読んでもらいたい、と思う。
もちろん、全部が全部さくらさんのようにうまくいくとは限らない。
けれど、まるで蛹から羽化する蝶の貴重な一瞬を見せられたような気さえした。
そんな人生の大切な一瞬が、この本には書かれている。
とにかく、若者に夢と希望を与えてくれる本である。

そして私のように若くはない者にも、あらためて青春の日々を思い出させてくれるのである。



by fu-minblog | 2019-04-22 16:38 | | Comments(0)

惜別 堀文子さん

一昨日の朝、いつものように新聞を広げた途端見つけたのが堀文子さんの訃報だった。
100歳ということで天寿を全うされたに違いはないが、私は心に大きな穴が開いたような喪失感に襲われた。

堀さんは尊敬する人生の先輩のお一人であり、私には手の届かない遠い憧れの存在だった。
何より素晴らしい画家として、そして「群れない、慣れない、頼らない」をモットーにした潔い生き様。
群れない、頼らないはできても、私には慣れないというのはよほどの覚悟がないと困難なのだった。

そんな堀文子さんの絵の展覧会に行ったことや、めったにはないがテレビに出て対談されるお姿を思い出す。
展覧会は、4年前の兵庫県立美術館の「堀文子 一所不在」という展覧会が最後となった。
けれど、何冊か持っている堀さんの本を探すと、堀さんご自身が書かれたもの、堀さんが挿絵を描かれた絵本、そして堀さんの大ファンだという村松友視氏の評伝などが出てきた。


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ちょうど読む本を探している時だったので、改めて堀さんの本を読みなおし、その珠玉の言葉に触れたいと思います。
そして、堀文子さんを偲びたいと思います。



by fu-minblog | 2019-02-10 16:09 | | Comments(0)

「ある男」

今年に入って読んだ2冊目の本が、この平野啓一郎著「ある男」である。
昨秋出版されて以来、本屋で手にしつつも読まず、やっと今年になって読むことに。
一つには、読みたい本が何故かなく、なのに本が読みたいというジレンマの結果である。

今年に入って暖かではあるが乾燥が酷く、空気はカラカラ状態だった。
そのせいか、とうとう風邪を引いてしまい、気分もイマイチ。
乾燥は空気ばかりか人の心身にも及ぶようである。
そんな中、急にこの「ある男」を読んでみたくなったのである。

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元々平野啓一郎ファンで特に文章が好きなので、一気読みとまではいかないが、すぐに読み終わった。
もっと味わってゆっくり読めばよかった、と今になって思う。
だいいち、また次の本を探さないといけないではないか!

内容はいろんな要素が盛り込まれ、かなり複雑である。
「マチネの終わりに」もそうだったが、最近の平野作品には社会や時事問題が色濃く反映する。
それに加えて、人間の本質にも迫っているので、一度読んだだけではどれだけ理解できたのか自信はないのだが。

この「ある男」というのは、戸籍交換という異常な手段を使わずには生きられなかった一人の男の話ではない。
その不幸な男の死をめぐって、その男を追い続けた一人の弁護士の物語である。
彼は恐らくどこにでもいるような、誠実で仕事熱心でしかも優秀な中年の弁護士である。

読者はその弁護士と一緒に、戸籍交換までして生き、せっかく掴んだ幸せな時間を事故死という形で終わらせた男の謎を追う。
その間はけっこう推理小説のような緊張感もあるのである。
そして私たちは男の背中を追う弁護士の背中をいつの間にか追っているのである。
ちょうど、ルネ・マグリットの絵のように。




by fu-minblog | 2019-02-05 11:42 | | Comments(0)

「一切なりゆき」~樹木希林のことば~

私がこの「一切なりゆき」~樹木希林のことば~という本を新聞広告で知ったのは、ちょうど一週間前くらいである。
一軒目の本屋には売り切れでなく、二軒目の本屋ではまだ段ボールの中に入っていたのを開けて出してもらった。
この本が人気があってよく売れているとしたら、それはうれしいことである。

この本は、希林さんの書かれた文章というよりは、そのほとんどは誰かと対談された時やインタビューで希林さんの話された言葉によって成り立っている。
なので、まるで希林さんの話し声が聞こえてくるような本、になっている。
話したことばは残らないのがフツーなのだが、希林さんのことばがこうして残され、一冊の本になって良かったな、と思わずにはいられない。

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私が女優としての樹木希林さんをよく観るようになったのは、実はそう古いことではない。
なぜなら、私はテレビドラマ時代の彼女はあまり観たことがなく、映画女優としての希林さんしか知らない、と言っても過言ではない。
映画は、なぜかほとんど観ているのではないだろうか?
私が観る日本映画にはなぜか樹木希林さんが度々出演されていたからである。

それはたぶん、是枝監督作品には必ずと言っていいほど樹木希林さんが出演されていたし、河瀨直美監督の「あん」など希林さんなしでは考えられない映画だった。
また今年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞した「万引き家族」しかり、である。
今年に関して言えば、希林さんの死後上映された「日々是好日」、そして残念ながら見逃した「モリのいる場所」もある。

希林さんは、長くガンを患い、しかも全身ガンという状況にもかかわらず、意欲的に女優としての仕事を続けてこられた。
そして、テレビで対談の姿を観て間もなく不帰の人となられ、非常に驚いたのだった。
希林さんの残されたことばの全てとは言わないが、自分と同じ考え方が数々あって、まるで同士を失くした心地さえする。

この本のタイトル一切なりゆき、ではないが、人生はサプライズの連続であるし、一日一生なのである。
自分に正直に、本音で生きる人は潔い。




by fu-minblog | 2018-12-26 17:42 | | Comments(0)

2度目のボヘミアン・ラプソディとクイーン本

今日は冬至、今年も10日を切ってしまった。
そんな年の瀬の昨日、映画ボヘミアン・ラプソディの2度目を観に行った。
家で毎日OSTを聴いてたら、もう一度映画を観たくなってしまったのである。

朝一番の上映に間に合うよう急いで支度し、渋滞気味の道路を走ると少々気が急いた。
映画は1度目観た時より、ストーリー展開はもちろん、音楽を何度も聴いて馴染んでいて、感激もひとしお。
特にクイーンの演奏が始まったり、楽曲が流れ出すとしぜんに体が動き出すのだった。

1度目は映画としての面白さが際立っていたのだが、2度目はクイーンの音楽に改めて感動。
まるでライブ会場にいるような錯覚さえ覚えるのだった。
なので、今回2度観に行ってつくづく良かったな、と思う。

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そして、映画の帰り本屋に寄って偶然見つけたのが上の本(雑誌)である。
私はこんな雑誌があることも、クイーンの特集号が出ていたこともツユ知らなかった。
でもなぜかこの本の前に導かれていった、まるで私を呼んでいたかのように。

というわけで、クイーンについて知ることが俄かに多くなったのである。
でも、私的にはそんな知識はどうでもよく、今はOSTを大音量で聴くのが楽しみ。
あとは映画ボヘミアン・ラプソディのDVD発売を待つばかりである。




by fu-minblog | 2018-12-22 11:14 | | Comments(0)

10月の読書

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10月もあと少し。
本のレビューがだんだんズボラになり、とうとう一ヶ月単位になってしまった。
もう一冊くらい読める気もするが、とりあえず10月の読書、ということで。

さくらももこのエッセイを8冊読んだ後、さらに5冊読んだ。
最近本屋へ行ってみたところ、文庫本のエッセイはほぼ読んだようである。
そこでとりあえず、このへんで終了、ということに。

先日見た映画「日日是好日」の原作(森下典子著)を読んでみた。
映画も良かったが、この原作がまたエッセイのお手本みたいな、内容も文章も格調高いものだった。
副題の「お茶」が教えてくれた15のしあわせとあるように、茶道について書かれている。

けれどこの本に書かれているのは、著者がお茶を通して学んだ人生の諸々である。
なので、この本は茶道について書かれたいわゆるお茶の本、参考書ではない。
それが、私みたいな茶道の門外漢にとっても興味深い本となっている。

一番最近読んだのが「大家さんと僕」である。
前から読んでみたかったのだが、やっと昨日ゲットした。
これはお笑い芸人の矢部太郎が書いたエッセイ漫画?である。

高齢の大家さんとのほのぼのとした日常が描かれていて、時にしんみり、時に爆笑しつつ読み終えた。
このまるでファンタジーのような実話は、矢部太郎と大家さんのステキな出会いと人柄が生み出した。
すべての悩みは対人関係の悩みではあるが、この世で一番感動的なのもまた対人関係から生まれるのである。

残念ながらこの大家さんはお亡くなりになったようだが、矢部太郎に出逢えてきっと幸せだったと信じます。
合掌。



by fu-minblog | 2018-10-27 18:08 | | Comments(0)

「地球星人」

村田沙耶香の芥川賞受賞後第一作、というので読んでみた。
「コンビニ人間」は面白かったし、他の作品もほとんど読んでいて期待は大きかったのだが・・・

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一通り読んでの感想を言えば、残念ながら期待はずれだった。
私は村田沙耶香をほぼ全作読破しているくらいなので、基本的に好きなのだと思う。
彼女の作品は極端な設定を通して、世間の正義や常識に疑問符を投げかける、というのが特徴である。

普通とは何か、正常と異常、あるいはマジョリティとマイノリティの問題が問われる。
ただ「地球星人」にかんしては、その設定の極端さがあまりにリアリティを欠いている気がするのである。
遺伝子の呪縛から脱することに成功した唯一の生物である人間は、地球星人として生きるか、あるいは宇宙人として生きるかしかないのだろうか?



by fu-minblog | 2018-09-30 16:17 | | Comments(0)

さくらももこ三昧な一週間

次々と自然災害に見舞われた先週一週間、私はといえばお察しの通り?さくらももこ三昧だった。
おかげで、手持ちのさくらももこエッセイの文庫本を、全部読み終えてしまったのである。
8冊あったので一日一冊のペースなのだが、最近にしては珍しく速い。
でも、かっては一日2冊くらいは読んでいた時期もあるのである。

今回、本屋で在庫全部6冊まとめて買ったのは正解だった。
なぜなら、それ以来さくらももこの本は書店から消えたばかりか、アマゾンにも無い。
でもそのうち溢れるくらい出てくるのではないだろうか?
実は、あと2冊ばかり読みたいのがあるのである。

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私は、実は漫画「ちびまるこちゃん」を読んでないので、エッセイストとしてのさくらももこさんしか知らない。
なので、エッセイストとしてのさくらももこさんについて、少し感想を書きたいと思う。

実は私には好きな女性エッセイストが三人いる。
名文の誉れ高い美しい日本語の珠玉の文章、近寄りがたい優等生の須賀敦子さん。
ほとんど名人芸ともいえる随筆の達人で、気取らない優等生の向田邦子さん。
自由奔放、歯切れがよくて痛快、その毒気に当てられ?中毒になってしまった佐野洋子さん。

特に佐野洋子さんが大好きで、ほとんど全部のエッセイを読んでいるが、佐野さんもまた本職は絵本作家である。
さくらももこさんが漫画家でありながらエッセイを書かれるのと同じである。
佐野さんは8年前に、そしてさくらさんが今年まだ53歳という若さでお亡くなりになり、残念至極である。
もちろん、年齢的には佐野さんとさくらさんでは親子かそれ以上の開きがある。

さくらさんのエッセイは、日常のごく些細なことを飾らず気取らずストレートに、ユーモアを交えて書かれている。
しかもそれらは、誰にでも一つや二つは思い当たるフシがあるのである。
人々を惹きつける面白いエッセイとは、自分の個人的な体験や思いを普遍化できなければならない。
あるいは、人々が見落とし忘れ去ったことを、その観察力と記憶力によって掘り起こすのである。
もちろん、豊かな感受性によって、自分の日常を心豊かに生きてこられた証でもある。

そんなわけで、それぞれの個性の違いはあれ、今回私の好きな女性エッセイストにさくらももこさんが加わった、という次第である。



by fu-minblog | 2018-09-12 12:51 | | Comments(0)


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