この本について今語るのは止めるつもりだったのだが、今日一日ポッカリ時間が空いたので、思い切ってレビューUPすることに・・・
それとゆーのも、昨夕待望の夕立があり、そのせいで今朝は比較的涼しく、このチャンスを逃してなるものかと、朝も早からボーボーに伸びた庭の草刈りを決行。
疲れて外出する気にもならないってワケなのである。
京都一往復を挟み、それでも一週間ばかりで「決壊」上下巻を読み終えた。
ただ、個人的にヒジョーに読んだ時期が悪く、かたやきわめて自然で穏やかな現実の死を見つつ、かたやきわめて異常で凄惨な本の中の死を体験するという。。。
もし、先に本を読み始めていなかったら、ひょっとしたらツンドイたかも・・・
何ともコワイ本である。
バラバラ殺人という事件そのもののコワサはモチロンだが、人間の本質的な悪、あるいは、神を喪失した人間の救いのなさに、茫然とする。
アメリカ9・11事件後の02年~03年、ブログが浸透し始めたネット社会の犯罪が描かれるのだが、先日の秋葉原無差別殺傷事件や最近頻発する通り魔事件を想起させる。
ただ、この物語の被害者は、地方で妻子と共に暮す平凡な会社員なのだが、ブログを始めたばっかりに、それを見た「悪魔」と名乗る犯人によって犠牲者として選ばれる。
また、被害者の兄が犯人として逮捕されるという、悲劇の上塗りのような不条理な事態となる。
物語はこの何の罪もないのに事件の当事者となり崩壊する家族の他に、14歳の孤独で殺意を秘めた少年もまたブログによって、「悪魔」に選ばれ、事件に関わってゆく。
何を隠そう、私は平野啓一郎追っかけ?ファンなので、新刊が出たらすぐに買って読む、のがナラワシなのである。(途中挫折もアリ)
今回も、いち早くアマゾンに注文したワケなのだが、、、、、
一気に読んだことは読んだが、理解不十分なのか、いやはや、今までで一番後味悪いかも・・・
ドストエフスキーの「罪と罰」を読んだのははるか昔のことなのだが、これほどではなかったよーな?
いつも小説の新しい手法や形態に果敢に挑戦する平野作品、この作品でも、太字でブログやメールの文章、マスメディアの発言がそのまま挿入されている。
また、本の装丁も凝っていてオシャレ。
しかし、フツーの文章において、随所に傍点が付けられるのは、押しつけがましい感じがして、私的には好きくないのだ。
この辺で追っかけ止めて、寂聴さんにお譲りしょっか知らん???