いつの間にか、韓国関連以外の本までここに感想を書くようになってしまったのですが、今年もまた懲りずに・・・
感想というよりは、自分のための覚え書き、あるいはメモ程度のもんですが。
本を読んだその時は、ナルホド、ナットク、と思っても、霧の彼方に消え行くのみ。
それを少しでも留めようと、無駄なアガキと知りつつ・・・
年末に本屋で見つけ、忙しい大掃除の合間に読みました。
米原さんの晩年、厳しい闘病生活のさなか行われた講演集です。
書き言葉ではなく話し言葉でユーモアたっぷりに語られたものなので、読み易くすぐに読めるのに、その内容はふかく示唆に富んでいます。
4つの章に分かれているのですが、まず本のタイトルにもなった
「愛の法則」
人の男と女についての考察の結果、「女が本流、男はサンプル」という米原学説?が導き出されます。
また、男女のホレタハレタも結局は種族保存本能のなせるワザだというのは、私の場合、竹内久美子さんにさんざん教育受けて?いるワケですが、人は裸のサルではあるが、人はまた神を創造したサルでもあるのだ、と思う今日この頃です。
本のタイトルにもなった愛の法則ですが、私的には次の章以降に目からウロコ、でした。
「国際化とグローバリゼーションのあいだ」
まるで念仏のように唱えられたグローバル、あるいはグローバリゼーションという言葉、その本質に鋭く迫っています。
英語に弱い私などインターナショナル(国際的)とグローバリゼーション(国際化)の違いさえ曖昧。
ましてや、グローバリゼーションと日本人が考える国際化とはけっして同義語ではない。
すなわち、グローバリゼーションとは、強国の基準を押しつける、むしろ対義語であるとのこと。
日本人が国際という言葉に過剰反応してしまうのはなぜなのか、についても解り易く語られます。
「理解と誤解のあいだ」―通訳の限界と可能性―
ここでは同時通訳という仕事の特殊性、またその奥儀について語られています。
また自身の子供の頃の体験(小学生でプラハに移り住み、全く言葉が解らないままロシア語学
校で学んだ)から、言葉を理解できない苦しみを通して学んだこと
『人間というのは他者とのコミュニケーションを求めてやまない動物なんだ』ということが、通訳という仕事を選んだ原因だと言われています。
また、『みんなが同時に笑えて、一緒に感動できる。いつもそれを目指している』とも。
「通訳と翻訳との違い』
米原さんの本を読んで感心するのは、その膨大な読書量です。
そしてその習慣を決定的にしたのは、やはりプラハでの経験が大きいようです。
飛躍的にロシア語力が伸びたのは、辞書を引かずに小説を読むようになってからだそうです。
この経験から、単語を丸暗記したり、文法だけを切り離して学ぶ語学学習は意味がないとし、『小説を楽しめる語学力があれば通訳になれる』と言い切っています。
言葉を大切にする、ということは文化を大切にすることでもあり、他人とのコミュニケーションを大切にすることでもある、と教えられた気がします。