この本を知ってから、読まぬ間に、かなりの月日が経ってしまいました。
おかげで?とうとう文庫本になってしまっているのを発見・・・
なんだか申し訳ないような気持ちと、もーそんなに時間が経ったかとある種感慨にひたり、今度こそ、と思って読みました。
竹内浩三の名前と何篇かの詩、「骨のうたう」や「日本が見えない」を目にしたことのある人は、けっこう多いのではないでしょうか。私もそんな一人でした。
今回この「ぼくもいくさに征くのだけれど」を読んで、あらためて竹内浩三という人の魅力に、その詩のチカラに圧倒されるとともに、この本を書いたのが、稲泉連さんという当時25歳の若者であったことに、驚きと感動を覚えます。
ちなみに、稲泉連さんはこの作品で、2005年度大宅壮一ノンフィクション賞を最年少で受賞。
竹内浩三は、太平洋戦争でわずか23歳の若さで、珠玉のような多くの言葉を残し、戦死しました。
そして、その同じ23歳の時、稲泉連さんは竹内浩三の詩に出会い、魅せられ、彼の足跡をたどる旅に出るのです。
竹内浩三の産まれ故郷である伊勢から、その最後の地となったルソン島バギオまで訪れています。
そして、たった一人の肉親である姉・松島こうさんから、竹内浩三の詩に感動し、愛し、世にひろめた人たちを、丹念に取材しています。
そして稲泉さんは、そんな過程を通して、あの時代を、あの戦争を自分なりに知ってゆくのです。
一人の、戦争を全く知らない今どきの若者が、誰に教えられることもなく、竹内浩三という一人の詩人に出会うことによって・・・・・
これはモチロン、竹内浩三の詩のチカラでもあるのですが、戦争を伝えてゆく方法について、あらためて考えさせられるものがありました。
実は、今私の手元には、竹内浩三詩集が届いており、これからじっくりどっぷり浸りたいと思います。