今月も読書レビューということになりました。
「名もなき毒」
宮部みゆき氏の3年ぶりの現代ミステリー。
連続無差別毒殺事件と身近な人間関係のトラブルが、平行しながらもビミョーに絡まってゆくという筋立て。
無差別という動機のない殺人、理由もなく巻き込まれるトラブル、それは誰もがいつでも遭遇するコワサです。
私たちの周りにある名もなき毒は、名がなきゆえに、いっそうブキミ!
ここでも、やっぱり一番コワイのは人の心の毒、怒り、だったんですよね~
一気に読めます。
「家族のゆくえ」
思想家・詩人、吉本隆明氏の家族論はどんなかな?という好奇心で読みました。
家族論というよりは、発達の段階に応じての教育論でもあり、広くは人生論といえるかも・・・
「名もなき毒」で描かれた無差別殺人や、親が子を、子が親を、子が子を衝動的に殺してしまう現代日本の事件、その根本的原因は親、特に母親にあるという吉本氏。
そして、今吉本氏にとって一番切実なのが、「老い」という事実。
人類史始まって以来初めての高齢化社会、「老い」についての考察は、今始まったばかりです。
「脳と仮想」
去年どーしても読みたくなり買って、途中下車していたのを、今回完読。
今をトキメク脳科学者・茂木健一郎氏、文章家としてもリッパです。
21世紀は脳の時代でもあり、その解明は日進月歩にすすんでいます。
チョット前まで、心は胸にあったのに、今や脳にあるみたい。。。
脳こそが、私たち人間の全てである・・・・・
今まで省みられなかった、人間の空想、想像力、仮想の世界・・・・・が現実と同じくらい重要だと分かって、私はうれしいです。
「風味絶佳」
山田詠美氏の表題作ほか計6編の短編集。
「シュガー&スパイス」を観て、つい読みたくなってしまいました。
実は以前にも読んでみたいと思ったのですが、そのままに・・・・・
すべて肉体の技術をなりわいとする人を主人公とした、風味絶佳な名品ばかり。
歯切れのいい文章、味わい深い内容、さすがプロ!
「こころ」
夏目漱石の代表作「こころ」、恥ずかしながら初めて読みました。
何を隠そう、先月の平野啓一郎氏の「本の読み方」で採り上げられていたから・・・
吉本氏の「家族のゆくえ」にも出てきて、新解釈?されていて、ちとビツクリ。
内容は、知らぬ人とてなく、私がいうのもおこがましいので省略・・・
古典を読んでいないことを、今更ながらに再確認。
「人生を(半分)降りる」
作者中島義道氏の、専門書(哲学)を除くほとんどの本を読んで(買って)いるという・・・
なぜか? 読むとホットするんです。
ただ、すべて共感というワケではなく、とりわけ、死ぬのがコワイという中島氏に対して、人間死なぬ方がよっぽどコワイと私は思うのですが・・・
もの好きにも、実は再読です。
以上、長くなりました。
やっぱり、はやく庭をキレイにしようとつくづく感じた、今日この頃でした。