昨日岡山へ行ったので、ついでにと言っては失礼ながら、日本伝統工芸展を観てきた。
会場へ一歩足を踏み入れたとたん、なぜかホッとするから不思議である。
いつもと変わらず、静かで落ち着いた空間が私を待っていてくれる。
人もそう多くはなく、ゆっくりじっくり作品を鑑賞できるのが、なによりうれしい。
今年のお目当ては、高松宮記念賞の井戸川豊作「銀泥彩磁鉢」という陶芸作品。
鉢の底と側面のカイワレ大根の模様が、モダンでユニークなのである。
伝統の技術を受け継ぎつつ、新しい発想を取り入れることが重要なのだと思う。
工芸と言えば、先日観た光悦、宗達、光琳など琳派の作品も、広い意味では工芸である。
工芸とは用を為すものであり、かの風神雷神図屏風とて、屏風としての使用目的があるのである。
日本の美術は工芸として発展し、その美を極めてきた、と言えると思う。
ただ残念なことに、ガラスケースの中にこそ入れられてはいないが、一般庶民はそれらを使うことはもちろん、手に触れることもできない。