クルーズの旅で行った平戸が、今私の中でにわかにクローズアップされている。
それというのも、先日亡くなられた高倉健さん最後の映画「あなたへ」の舞台となったからである。
でも、それを知ったのは帰ってから、友人が録画してくれた「あなたへ」のDVDを見てのことである。
折しも、今日は今日でプロフェッショナル・高倉健スペシャルの再放送を見ると、平戸での撮影風景がていねいに描かれていて驚いた。
今回平戸へ行ったのはまったくの偶然で、偶々船が佐世保に入港し、偶々「平戸と伊万里焼の街を訪ねて」というオプショナルツアーがあり、偶々4つの中からそのツアーを選んだからである。
私は残念ながら映画「あなたへ」は見てなかったのだが、プロフェショナルは見ていた。
ああそれなのに、平戸のことはすっかり忘れてしまっていたのである。
私はただ、平戸へは行ったことがない、という理由だけで行ったにすぎない。
こんなことなら、も少し心して見てくるべきだったと、後悔後の祭りである。
そこで仕方なく、ボツにした写真なんぞを拾いあげてみた次第。
あの日はお天気が素晴らしくよく、青い空と輝くような海だった。
あの海のどこかに、主人公は亡き妻の遺灰を撒いたのか、と写真を見て思う。
「おとなは、大事なことは、ひとこともしゃべらないのだ」という向田邦子の言葉を思い出す大人の映画であり、主人公を演じる高倉健は数少ない本物の大人の男だった。