この映画のことを知ったのは偶々だったのだが、ぜひ、観たくなった。
なぜかはわからないが、今はそうゆう気分なのだった。
熊切和嘉監督の映像と、ロックバンドTHE BACK HORNの音とのコラボレーション。
ストーリーはおろかセリフもまったくないのである。
でもそれがいつの間にか作品世界に引き込まれ、ミョーに心地よくさえある。
ロシア・ウラジオストックの荒涼とした風景、その中をあてもなく妻の遺体を荷車で運ぶ老人、つかずはなれず寄り添う老犬、彼らを照らす月明かり etc・・・・・
そんな自然の音しかない映像だけの世界が突然切り裂かれ、THE BACK HORNの激しいライブシーンに変わる。
私は最初その切り変わりに少々違和感を覚えていた。
しかし、そのうち違和感は無くなり、ここで入るなと分るようにさえなるのだった。
一見静かな映像と正反対の激しいロックミュージック、しかし、その奥には何か共通するものがある気がするのである。
それが何なのかは、観る人それぞれが感じればよい、と思う。
熊切監督は、「私の男」でもそうだったが、とにかく映像がうつくしい。
余談ながら、老犬キッドの演技?には泣かされます。