ひさびさの、スケールの大きいファンタジー・アドベンチャー映画。
トラが出るってだけで観たくなるのに、トラと漂流した少年の話しとなれば迷わず、観る。
映画館の大画面と音量が迫力まんてん、手に汗握る展開に思わず引き込まれてしまう。
パイというのは、主人公の愛称。
インドで父親の経営する動物園で動物たちと暮らしていた16歳の少年が、家族や動物と一緒にカナダへ移住することになる。
しかし、彼らを乗せた貨物船が嵐に遭い沈没、パイだけが救命ボートに乗せられ命拾いする。
救命ボートには、足を折ったシマウマ、ハイエナ、あとから流れ着いたオランウータンもいた。
ところがナント!ボートにはベンガルトラのリチャード・パーカーもいたのである。
やがて、他の動物は死に、ボートにはパイとトラだけが残ることになる。
パイはトラに命を脅かされながら、自然の脅威や飢えと闘いつつ、苛酷なサバイバルを強いられる。
そして絶望的な漂流の後、パイはメキシコの海岸に漂着する。
その間、つぎつぎアクシデントが起こるのだが、必死で対処してゆく少年の成長物語でもある。
神の存在さえかんじさせる偉大で神秘的な自然の映像に圧倒される。
ベンガルトラのリチャード・パーカーの、生き生きとした動きがCGとは信じられない。
とにかく、血沸き肉躍る物語ばかりか、海と空と動物や魚がふんだんに観られるのである。
実は、この物語が信じられない方のために、もう一つの物語も用意されている。
トラと少年が227日間も漂流したなんて、あまりに突拍子もないと思われる方のために。
私は、もちろん、この少年の話しを信じます。
原作は2001年発表、イギリスのブッカー賞受賞のヤン・マーテル作「パイの物語」。
監督は台湾出身のアン・リー、主人公パイの少年時代を演じたのは、オーディションで選ばれたインドの少年。
たとえ演技経験がなくても、あの美しい目だけで十分である。
ふと、「
スラムドッグ$ミリオネア」の主人公を思い出す。
ただ一つ残念なのは、この映画を3Dで観なかったこと。
3Dで観たら、もっともっと迫力があったのではないだろうか。
追記:実はその後この映画がアカデミー賞監督賞ほか最多の4冠に輝いた。
それを記念して?もう一度3Dで観たのだった。