またもや韓国映画に打ちのめされる。
暗く重いテーマを、どうしてこんなに詩情豊かに描けるのか。
そして観終わった後、これほど強い余韻が残るのか。
この映画については、あまり語りたくはないのだが・・・・・
一口で言うと、60代半ばになって初めて詩を書き始めた女性を襲うつらく悲しい現実と、出来上がった一編の詩の奇蹟、とでもいえばいいのか。
しかし、一番大切なことは観客一人一人に委ねられているのである。
それはちょうど、詩を解説することが困難なのに似ている。
この「ポエトリー」という映画は、そういう意味で一篇の詩、なのかもしれない。
監督は、「
ペパーミント・キャンディ」「
オアシス」「
シークレット・サンシャイン」そして「
冬の小鳥」のプロデュースも手掛けたイ・チャンドン。
また、主人公役のユン・ジョンヒ、初期アルツハイマーという設定だけではない、可憐で無邪気でまるで夢見る乙女のような佇まいが素敵な女優さん。
映画の最初と最後、画面いっぱいに映し出される川の流れのシーン、何度も詩の言葉を探して見上げる緑の大木、広げた詩のノートに突然落ちてくる雨のしずく等など・・・印象的なシーンも多い。
やっぱり、韓国映画おそるべし。