実は、この本は買いたくなかった。
だけど、ちょっと読んでみたかった。
誰か買った人に借りて読みたかった。
頭ン中で知り合いの顔をいろいろ思い浮かべ、
やっぱり、買うのは自分しかない、と諦めた。
彼がワルガキでヒネクレもんの芸人としてのキャラなのに反して、非常に真面目で読書家なのは知ってはいた。
が、これほどロマンチストとは思わなんだ、というのがこの本を読んだ正直な感想である。
9篇の短編が収められているのだが、どれもみなファンタジーというよりは、寓話である。
なぜなら、寓話には寓意が隠されているからである。
モチロン、1話づつ違うのだが、全篇を貫いているのは、世界のあるいは人類のあるべき理想の姿への、強い希求である。
この本のタイトルにもなった「マボロシの鳥」では、この世で一番幸福なことは、誰かに必要とされることであり、この世界は、きっとどこかと繋がってる、と主人公に語らせる。
また最後の「地球発・・・・・」という作品は、「星の王子さま」と「銀河鉄道の夜」を合体させるというユニークな発想の、珠玉の?1篇となっている。
私はこの本を、この冬休み中高生の選定図書として推薦したいくらいである。
たまにはゲームから離れ、自分の人生や世界の未来について考えてほしい、と思う。
ただ、私のような年増には、ちと毒が足りないような気もするんである。
私の読書友だち、よかったらお貸しします。