上の写真はタイ山岳少数民族・アカ族の女性の衣装である。
藍染木綿の上に、色とりどりのアップリケや刺繍に埋め尽くされ、その上、古銭、銀色のボタン、じゅず玉の実、穀物の種のビーズで飾り付けられた、手の込んだ美しい衣装である。
この衣装は、我家の階段上の薄暗い廊下の壁に、15年~20年の長い間飾られている。
そしていつの間にか、飾られたまま忘れられ、まるで壁の一部になってしまったかのようだった。
それが突如甦ったのは、
feliza0930 さんの「少数民族」という記事を見たからだった。
かくして、暗がりから明るい陽射しの中に甦ったアカ族の衣装は、にわかに脚光?を浴びることに。
今あらためて見て、この丹精込めた手仕事に、多彩な色遣いに、デザインを超えた装飾性に、何か崇高なものを感じる。
この衣装は、アカ族の女性の普段着であるらしく、実は実際に着られるのである。
ただ、アカ族の女性は小柄なのか、残念ながら私には小さすぎて入らない。
当時、私は本気でタイへ山岳少数民族に会いに行きたいと思っていた。
私をタイへと駆り立てた一冊の本が、このカノミタカコ著「タイの山より愛をこめて」である。
この本によって、タイ山岳少数民族の存在と、その数々の美しい衣装を知ったのだった。
この本が書かれてから約30年、アカ族の女性はまだこの美しい衣装を着て暮らしているのだろか?
いえ、まだこの素晴らしい手仕事は残っているのだろうか?
今私の心は、遠くタイの山岳地帯へ、そしてあの頃の自分へと飛んでゆく。
feliza0930 さん、ありがとう。