素晴しい技術の持ち主でありながら、まるで当たり前のように淡々と自分の仕事や作品を語る。
そのまだ若く美しい女性を前に、私はしんから尊敬の念と頭の下がる思いがするのだった。
木村千鶴さんとそのお弟子さんの日本刺繍作品展が今、倉敷市立美術館で開催されている。
木村千鶴さんは京都出身で今は鳥取県在住、ご本人の作品作りはもちろん、いくつか教室を持たれて指導をされている。
実は、今日会場にご本人が居られ実演もされていたのだが、ナント!私はいつかテレビの番組で見て知っている方なのだった。
実は今日展覧会に行ったのもまったく偶然、たまたま友人に会い、たまたまその友人が教えてくれ、なぜかすぐに行く気になったのだった。
日本刺繍というのは歴史も長く、日本の誇るべき伝統工芸である。
絹糸の光沢がなんとも上品で美しいのだが、今日訊いたところでは、糸の種類や太さも多く、またステッチも何百種類もあるそうである。
とにかく、根気と忍耐、そして日本刺繍への熱い想い、情熱がなくてはできない仕事である。
木村千鶴さんの作品の中でも圧巻は、枕草子絵巻を日本刺繍で創作されていることである。
もちろん原本とてなく、すべて自分で資料を集めて研究、下絵を描かれるという。
案内状の写真はその一部なのだが、文字などまるで墨で書いたとしか思えぬのだった。
私は、手の技の素晴しさと、その技をみがきつづける人にはめっぽう弱いんである。
展覧会の期間があと少しなので、とり急ぎお知らせまで。