ひとりあそび


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桜桃忌とサクランボ

今日、世間では父の日らしいが、6月19日ということで私にとっては桜桃忌である。
とはいえ、桜桃忌にかこつけてサクランボを食べるだけなのだが。

そんなわけで、今日わざわざサクランボを買いに行った。
去年は太宰の「桜桃」なんぞを読んだりしたが、今年はそれもしない。
c0026824_14493100.png

最近は山形産のサクランボで粒が小さめのが、少量パックになってスーパーで売られてる。
今年もだいぶ前から目にはしていたが、今日まで待っていた。

私は実は、今から20年ほど前、山形県山形市にほんの2~3ヵ月住んだことがある。
年末から翌春の、よりによって一番寒い時期であった。
けれど、それよりもっと、私の人生の中で一番苦しい一番辛い時期だった。
なので、山形の冬は寒かったけれど、私の心はさらに極寒の冷たさだったのである。
あの時、自分の一生分の涙を流したのではないか。

赤い小さな粒を一つまた一つ口に放り込む。
すると、しあわせが一つまた一つ全身に広がってゆく。
by fu-minblog | 2016-06-19 15:45 | 四季折々 | Comments(2)

桜桃忌と「櫻桃」

今日6月19日は桜桃忌。
太宰治が玉川上水で入水自殺をして、遺体が発見された日である。
奇しくも、太宰治(本名津島脩治)の誕生日でもあった。

いつ頃からか、私にとって、この日はサクランボを食べる日になった。
サクランボが店先に並び始めると、ああ、桜桃忌が近づいたな、と思う。
そして、まさしく、桜桃忌頃にはサクランボが旬を迎える、というわけなのだった。

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桜桃忌にサクランボを食べるだけではアンマリなので、今年はせめて「櫻桃」を読むことにした。
「櫻桃」は、晩年の短編で、私が持っている全集では、第九巻、「人間失格」の前に収められている。
ちなみに最後は未完の「グッド・バイ」である。

ここに「櫻桃」の最後の部分を原文のまま書き写し、太宰を偲びたい、と思う。

「子供より親が大事、と思ひたい。子供よりも、その親のはうが弱いのだ。
櫻桃が出た。
私の家では、子供たちに、ぜいたくなものを食べさせない。子供たちは、櫻桃など、見た事も無いかも知れない。食べさせたら、よろこぶだらう。父が持って歸ったら、よろこぶだらう。蔓を糸でつないで、首にかけると、櫻桃は、珊瑚の首飾りのやうに見えるだらう。
しかし、父は、大皿に盛られた櫻桃を、極めてまづさうに食べては種を吐き、食べては種を吐き、食べては種を吐き、さうして心の中で虚勢みたいに吐く言葉は、子供よりも親が大事。」

余談ながら、太宰ファンの又吉直樹は、この日どのように過ごすのだろうか。
by fu-minblog | 2015-06-19 10:32 | 四季折々 | Comments(0)

桜桃忌とサクランボ

スーパーの果物売り場でサクランボを見つけても今までは通り過ぎていた。
でも、今日はふと足を止めて、サクランボを1パック買い物かごに入れたのだった。
なぜなら、今日は桜桃忌、私にとっては太宰を偲びつつサクランボを食べる日なのである。

c0026824_1881190.jpg


もし私に座右の銘のようなものがあるとしたら、それは「蛇のごとく聡く、鳩のごとく素直なれ」という聖書の一節かもしれない。
そして、この聖書の言葉を私が知ったのは、「斜陽」の中で主人公が使っていたからである。

それ以来ずっと、この言葉は私の生きる指針になっている。
今日は、久しぶりにこの言葉を思い出し、噛みしめつつ、そして太宰を偲びつつ、
たぶん、今年最初で最後のサクランボを味わいたい、と思う。
by fu-minblog | 2014-06-19 18:14 | 雑感実感 | Comments(0)

桜桃忌

今日6月19日は桜桃忌、太宰治の誕生日でもある。
特に今年は生誕100年ということで、様々な行事、出版物、映画製作など話題が多い。
だからってワケでもないが、この度ン十年ぶりに「斜陽」なんぞを読み直してみた。
実は高校生の頃、毎月の小遣いをはたいて買った太宰治全集を今だに大切に持っているんである。

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この筑摩書房刊の、古色蒼然すっかり変色した全集(でも、ケースに護られて中身は大丈夫)は、昭和31年発行、定価が四百貳拾圓、しかも、旧仮名遣いである。
よく買い揃えたものだと思うが、それよりなにより、よく今まで持っていたものだとつくづく感心する。
私の高校3年間のほとんど全ての時間がこの中にある、といっても過言ではない。
サスガの私も、一人の作家の全作品を読んだのは、後にも先にも太宰だけかもしれない。
ただその後長い間、太宰はその全集とともに私の『ひめごと』になっていたのだった。

今回「斜陽」を読み直してみて、当時と変わらず何の抵抗もなくスラスラ読めたのには驚いた。
ひょとしたら、自分の人生全く進歩がなかったのか、とシンパイになったくらいである。
ただ、当時より強く感じたのは、太宰の作家としての才能、小説としてのウマサである。
そして、あの頃も今も、太宰の書く文章が何より、一番好きなのである。
文学というよりは、太宰は私の文章の師匠であり、知らず知らず多大の影響を受けたのだ。
それにしては、文章ヘタで、すみません。

中でも、太宰の警句のうまさには定評があるが、それらをノオトに書き留めていたのを思い出す。
そしていつの間にか、自然に使っていたり、自分のモットーにしたりしているのだ。
たとえば「斜陽」なら、『人間は戀と革命のために生まれて来たのだ』がある時期の私のモットーであったし、『札つきの不良より、札のついてない不良がこわい』とは常々思っていることだ。
よく私小説と言われるが、私小説もまたフィクションなのである。

自殺、心中未遂を繰り返し、あげく玉川上水で心中してしまった太宰には負のイメージや暗さが付き纏うが、なぜか戦争の影がほとんど感じられない。
戦争中の暗い時代に、むしろ太宰の作品はユーモアと明るさを増すのである。
そしてその頃の作品にこそ、太宰の真髄があるのかもしれない。

私も、お世話になった?ことだし、一度桜桃忌に行きたいと思いつつ、今年も行きそびれてしまった。
しかたなく、桜桃忌には太宰を偲んでサクランボを食べたりしている。

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by fu-minblog | 2009-06-19 09:21 | 雑感実感 | Comments(2)

「ピカレスク 太宰治伝」

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今日6月19日は桜桃忌、太宰治の誕生日でもあります。
それに合わせたってワケではないが、猪瀬直樹の「ピカレスク 太宰治伝」を漸く読み終わりました。
実は、2度の京都往復では足りず、かなり長い間読み澱んでいて、ついに!桜桃忌までと自分自身に期限を切ったって次第。
ここだけのハナシ、私的にはあんまり面白くなかったってことでしょーか。
なんで読む気になったかってゆーと、ピカレスク(悪漢)という一言につきます。
つくづく本の題名、タイトルって大事です。(私みたいな物好きがいるので)

さて内容ですが、きわめて客観的冷静な太宰論、あくまでドキュメンタリーに徹したとゆーか、取材力、膨大な資料、そしてその分析力にはオドロキます。
この作者の類まれな資質なのでしょーか?
その反面、なぜか太宰に対する愛情のよーなものが、微塵も感じられないのはナゼなんでしょう?

フツー、ある人物の評伝、あるいは作家論など書く場合、やはり何らかの愛情、、、とまではいかなくても、魅かれるものがあるからだと思うのですが・・・
この本読むと、悪漢太宰の姿が鮮明に浮かび上がるばかりでなく、彼の師井伏鱒二、あるいは当時の文壇、作家たちのいい加減さに、夢破れて山河アリ・・・?ってところです。
何時の場合でも、真実とは口に、いえ心に苦いものなのかも知れませんが・・・

太宰は何度かの自殺未遂心中未遂を繰り返した挙句、ついに39歳の誕生日直前、玉川上水で女性と入水、亡くなります。
そしてその遺書に書かれたことば、「井伏さんは悪人です」の意味を作者が追い求めてゆきます。
「親兄弟、友人知人を騙り、窮地に陥る度に自殺未遂を起こした太宰。その太宰を冷徹に観察し、利用した井伏。二人の文士は、ともに悪漢であった」というワケなのでした。

けれどその悪漢の書いた小説は、死後60年経った今も、多くの、特に若い読者を惹きつけて止みません。
by fu-minblog | 2007-06-19 18:54 | | Comments(0)

桜桃忌

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なぜ今年に限ってこの桜桃忌を思い出したかっていうと、何日か前の天声人語にとりあげられたからです。
そして、えもいわれぬ懐かしさがこみ上げてきたのでした。
桜桃忌を決して忘れなかった頃、桜桃忌を忘れようと努めた頃、いつの間にか桜桃忌を忘れていた頃、そして桜桃忌を懐かしむ今日この頃。


我が家の古い本棚に、筑摩書房版の太宰治全集13巻が並んでいます。
1冊420円、わたしの高校3年間のお小遣いほとんど全てがこの本につぎ込まれました。
そればかりか、高校3年間のほとんど全ての読書時間、家族よりも誰よりも濃密な時間をこの本とともに過ごしたのです。

その後、ある作家の作品を集中的に読むというクセは直らないのですが、あれほど深く、盲目的にのめり込んだことはたぶんないでしょう。
それはやはり、高校時代、思春期のなにか、まるで乾いたスポンジみたいに吸収するエネルギーのなせる業かもしれません。

文学にカブレてはいたものの、たぶん自信がなかたのでしょう、美術の方へと進路を変えてしまい、やがて太宰の本は本棚の中で忘れられてゆきました。
しかし、他の本らとともにヨメ入り道具の中にしまい込まれたのでした。
そして、かなり変色した背表紙が未だに行儀よく本棚に並んでいるってワケなのです。

6月19日は、太宰が玉川上水で入水心中し、その死体が発見された日である。
奇しくも39歳の誕生日に当ったため、この日を桜桃忌として太宰を偲ぶことに・・・・・
三鷹の禅林寺の太宰のお墓の側には森鴎外のお墓もあるという。
実は私は、モチロン禅林寺の桜桃忌にも行きたいが、生家金木町の「斜陽館」にぜひ行きたい。

「桜桃」は太宰晩年の短編で、私の本では「人間失格」の前に掲載されています。
「子供よりも親が大事、と思ひたい」という有名な冒頭は、他の多くの名文句「家庭の幸福は諸悪の根源」「生まれてきてすみません」などと共に、太宰の傑作の一つでしょう。
私が太宰治から受けた影響は、良くも悪くも今だに私の中で健在のようです。

今日はさくらんぼを食べて太宰を偲びたいと思います。
by fu-minblog | 2006-06-19 16:28 | 四季折々 | Comments(3)


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