私の夏の楽しみの一つは、昼間ベッドやソファーに寝っ転がって本を読むことだった。
けれど、今年はあまりに暑すぎた!
おまけに、睡眠不足が続いて横になると眠くなる、という有様。
おかげで、最近めっきり減ってる読書がますます少なくなったのだった。
そんな中、芥川賞の村田紗耶香の本を新たに2冊ばかり読み、計4冊を読んだことになる。
「消滅世界」と「コンビニ人間」はほんの少しだが触れたことがあるのでここでは省くが、
あとの2冊、「殺人出産」と「しろいの街の、その骨の体温の」をすこし・・・
「殺人出産」は、10人産めば1人殺してもいい、という「殺人出産制度」が認められる世界の話しなのだが、こういう極端な設定を通して、正義や常識に疑問符を投げかけるのがこの作者の特徴かもしれない。
併掲されている「トリプル」「清潔な結婚」も同じで、「殺人出産」から「消滅世界」へと発展したのではないだろうか。
「しろいろの~」は、一人の少女の目を通して、新興住宅地の小中学生の生活が描かれる。
女の子同士の複雑な友情関係、少女のある少年に対するサディスティックなまでの性衝動、やがて中学生になった彼らは、さらに厳しいヒエラルキーの中で身動きがとれなくなる。
時代が違いすぎてとても自分の中学生活とは比べられないが、この年頃の苦しみや傷みが繊細かつ丁寧に描かれた力作だと思う。
村田紗耶香の作家としての力量を感じさせる作品ではないだろうか。