ほくろが我家でエサを食べるようになって2週間ばかり経ったある朝、玄関の戸を開けたとたん、我が目を疑うような光景に出くわした。
白黒の小さな生き物がさっと四方へ散って行ったのである。
ほくろは少し困ったような表情をした(ような気がする)が、そう慌てた様子はなかった。
そして、一瞬の後私は悟ったのである。
ほくろはナント!ハハオヤだった、しかも5匹の子猫の。
あんなに華奢な体で5匹も子猫を産み、そして育てていたなんて!
ほくろのちょっと異常とも思える用心深さのワケを私は漸く知ったのだった。
しかし、その日以来子猫の姿を見ることはなかった。
ほくろだけは相変わらず毎日朝夕の食事をしにやって来た。
そればかりか、昼間車があるときは車の下、午後は日陰になる玄関わきのローズマリーの影でくつろいでいるのだった。
時には、ここは自分の住処だと言わんばかりの毅然とした姿で。
子猫を見なくなってほぼ一週間、もしかすると何かあったのではないか、育たなかったのではないか、と心配していた矢先、今朝玄関先にほくろファミリーが勢揃いしているではないか!
ただ、たしかに5匹いた子猫が4匹になっていた。
それでも全員元気そうにほくろの周りを取り囲んでいるのだった。
ほくろは牛乳が大好きで、いつもまず牛乳を全部飲んでしまう。
そこで今日は、子猫の分もと2杯に増やした。
また、キャットフードにも牛乳をかけて柔らかくすると子猫も食べていた。
私はもちろん、スーパーが空くのを待って子猫用のキャットフードを買いに走った。
それにしても、これこそまさしくサプライズ!
素敵というか、困ったというか・・・・・