「鹿の王」上下巻をやっと読み終えた。
一気に読めるかと思ったら意外に苦戦、半月ほど懸ってしまったのだった。
実は、上橋菜穂子氏の著作はこれが初めてである。
久しぶりに会った友人がぜひにと勧めてくれたので読む気になった。
ほんとは図書館で借りたかったのだが、ナント!予約待ちが100名近く、待ってられません。
泣く泣く買うハメに。
スラスラ読み進める、いわゆるファンタジーかと思いきや、そうではなかった。
民族や家族の結びつき、国を奪ったものと奪われた者との争い、感染症と医学、鹿・狼・犬など動物と人間との深い繋がり等など・・・
テーマがあまりにも壮大で、それがかえって集中力を欠いてしまうかんじ。
さらに言えば、固有名詞の読み方が独特で、記憶力の悪い私は苦労する。
おまけに、登場人物が多く、その関係が複雑怪奇。
けれど、中だるみしながらも最後まで読めたのは、二人の主人公の一人ヴァンのキャラクターの魅力や物語のチカラだと思う。
著者があとがきに書かれていることを読むと、なるほどと頷ける。
とくに、人体はまさしく小さな大宇宙であり、細菌やウィルスの働きによって成り立っていること。
そしてそこでは、生と死の壮絶なドラマが繰り広げられている。
また、柳澤桂子著「われわれはなぜ死ぬのか」という本のことが出てきて、驚いた。
なぜなら、私も以前読んだことがあり、本棚を探すとすぐに見つかった。
たしかに、一気には読めなかったが、その分長い間楽しむことができた、ともいえる。
夜寝る前、私の至福の時間が、これで終わってしまう。
次に読む本を、また探さなくてはならない。