ぜんぜん予定してないのに、買い物に行って、ついふらふらと映画館に入ってしまう悪いクセ。
そして観たのが、こともあろうに、この「エヴェレスト 神々の山嶺」という映画。
自慢じゃあないけど、私にとって山は登るものではなく眺めるもの、と言ってもよい。
エヴェレストはおろか富士山だって、遠くから眺めるだけで満足しているくらいである。
恥ずかしながら、私はこの映画についてほとんど予備知識がなく、原作が夢枕獏だったことにまず驚いた。
さすがに、キャストについては知ってはいたのだが・・・
また、自分がけっして行くことはないだろうエヴェレストの雄大な姿を観てみたいなんぞと、まるでドキュメンタリーを観るような感覚だった。
たしかに、大画面で迫力満点、厳しくも美しい山々の映像は素晴らしかったのだが。
それがナント!実に重厚な人間ドラマなのだった。
山に憑りつかれた一人の男と、彼に憑りつかれた男との葛藤と友情、その激しくぶつかり合う魂の物語である。
主役の岡田准一演じる山岳カメラマン深町誠がそうであったように、私は阿部寛演じる孤高のクライマー羽生丈二にすっかり心を奪われてしまったのである。
阿部寛は、まさしく神がかりの演技?だった。
そして私は思った。
誤解を恐れずに申せば、時に人には命よりも大事なものがあるのではないか、と。
けっして、命を粗末にしていい、というのではなく。
それは、自分の夢、誇り、止むに已まれぬ何かのために・・・
5200mという高地での過酷な環境で、体力的にも精神的にもハードな撮影に耐え熱演した岡田准一と阿部寛に日本アカデミー賞を差し上げます?
山登りの好きな方、また、私みたいに山は眺めるだけの方もぜひ!