先日、読書不況などいう記事を書いて間もなく、図書館から予約本準備完了のメールが届いた。
そして借りてきたのがこの亀山郁夫著「新カラマーゾフの兄弟」上・下巻である。
けっして忘れていたわけではないが、意外に速かったのに驚いたのは事実である。
それからほぼ10日、厚さ4cm位の2冊をどうにか読み終えたのだった。
私は実は、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を読んでいない。
なので、この本との比較はできないのだが、登場人物はほぼ同じにし、1995年の日本を舞台に描かれる。
1995年の8月31日から9月11日までの間の出来事が、兄弟それぞれに、時代を行きつ戻りつしつつ語られる。
しかも、カラマーゾフ(黒木)家の物語と「Kの手記」という2つの物語が並行しているのである。
正直、私にとっては悪夢のような時間(それも長~~~い)だった。
それでも、途中で止めずに最後まで読み終えたのは、やはり、結末が知りたかったからだと思う。
そして今だに、なにやら釈然としない気持ちのままである。
「カラマーゾフの兄弟」は、ご存知のように、父殺しがテーマなのだが、宗教、それも新興宗教が絡んでくるのが私的には理解し難いところ。
とくに、主人公とされる黒木リョウはいったい何者なのか?が謎である。
そんなこんな、ま、最後まで一気に読めた、ってことはそれなりに面白かったことは事実である。
文章も読み易く、なにより、原作と違い、人名も憶えやすい。
実は、これを機にやっぱり原作を読もうかなんぞと、ちらと思ったことは事実である。
けれど、ドストエフスキーは、私にとってはけっしてみだりには読めない作家なのである。
忘れもしない中学一年生の夏休みに読んだ「罪と罰」、世界が一変したような衝撃を受けたのだ。
そして、あれ以来私の人生は狂い始めた気がする。
どうでもいいけど、表紙がコワーイ。