図書館で借りるのを諦めてこの本を買ってから、10日くらいが経った。
一気に読むつもりが、ちょっと他のことに気をとられて遅くなったのだが、今日中と期限を決めて読んだのだった。
なので、読み終わったばかりであるが、とりあえず感想をば・・・
選考委員満場一致で直木賞受賞というだけあって、スケールの大きい骨太の作品である。
台湾が舞台で、主人公はじめ登場人物もほとんどが台湾の人々である。
時代は1975年、蒋介石死去から1980年代後半までの10数年間。
主人公葉秋生(イエ チョウシェン)17歳からの怒涛の青春時代。
蒋介石の死後間もなく、彼の祖父が何者かに殺されるという事件が起きる。
高校生の主人公はケンカや替え玉受験など無軌道に生きつつも、祖父を殺した犯人を捜し続ける。
戦争中の大陸での祖父の壮絶な人生、台湾での複雑な家族関係、やがて葉秋生は何かに導かれるように真実へ近づいて行くことに。
この作品の成功のカギは、なんといっても台湾を舞台にしたことだ、と私は思う。
日本が舞台では到底考えられないストーリー展開であり、登場人物たちの言動である。
つまり、台湾ならさもありなん、と思えるから不思議である。
私も少々住んだことがあるので、何となく想像できるのである。
ただ、私が住んだのは高雄で、周りはほぼすべてが本省人、この作品のように外省人ではない。
ゆえに、蒋介石の死を悲しんだりはしなかったのではないか?
銅像の多さに反比例して、蒋介石の人気はまるでなかったからである。
ところで、「流」というタイトルは、ちょっと綺麗すぎる気がするのは私だけだろうか。