先日、テレビで黒澤明監督の「八月の狂詩曲」が放送され、録画していたのを昨日観た。もちろん以前にも観ていてDVDも持っている。何度見てもいい映画は感動するものである。そして今日、「夢」と「まあだだよ」を続けて観てしまった。
実は、これら黒澤監督晩年の3作品が、数あるキラ星のような黒澤作品の中で、私は一番好きなのである。もう1本加えて、晩年ではないが、ソ連映画の監督をした「デルス・ウザーラ」が好きである。理由とてなく、ただただ好き、なのである。
7年前の2008年は、没後10年黒澤明特集ということで、NHKBSで黒澤映画が30本放映されたことがある。その時、ほとんどの映画を見たばかりか、その半分近くはDVDに保存していたのである。本と同様、DVDも1000枚くらい捨てずに持ってるアホな私である。
黒澤監督80歳の作品「夢」は、8話のオムにパス映画である。画家を目指していたという黒澤監督らしい、絵画的というか、画面がまるで一幅の絵のようである。1話、2話はメルヘンチックだが、かなりシリアスな夢もある。とくに、6話は原子力発電所が爆発するという話で、その慧眼に驚いた。この年1990年のアカデミー名誉賞を受賞している。
ただ、7年前の私のブログには、メルヘンチックな人間雛段の画像が使われていた。
先日放送のあった「八月の狂詩曲」は翌1991年の作である。原作は村田喜代子の芥川賞受賞作「鍋の中」。長崎原爆投下が、一人の老婆と孫たちの交流を通して、切なくも美しくどこか狂気を孕んで描かれる。
画像はこの映画で印象的だった、真っ赤な薔薇とラストの老婆の姿を使っている。
黒澤監督最後の映画となった「まあだだよ」は、内田百閒とその弟子たちとのほのぼのした師弟関係が描かれる。弟子たちに金無垢と呼ばれる純粋無垢な百閒先生、こんな無邪気で無欲な人がこの世に実際居た、と知っただけでもさいわいである。内田百閒の本は、映画にも出てくる「ノラや」他少々だけ読んだ程度。
ついでに、「デルス・ウザーラ」の画像も。自殺未遂の後、黒澤明の復活ともなった作品で、撮影は困難を極めたようだが、アカデミー賞外国映画賞にも輝いている。とにかくスケールが大きく、できたら映画館で観たい映画である。
「八月の狂詩曲」をキッカケに、晩年の大好きな黒澤映画をあと2本を観たのだが、あらためて、黒澤映画の素晴らしさを実感した。
画像はすべて古い画像で、実は今となっては作れないのである。