週末曇り空だと、とくに雨上がりなんかだと、悩ましい。
庭の草取りをするべきかどうか、ハムレットのように?悩むのである。
昨日もそんな一日だったのだが、午前中グズグズしているうちに、午後から雨が降ってきた。
そこで心おきなく?読書に没頭、カズオ・イシグロの短編集「夜想曲集」を読み始めたら面白くて止められず、一気に読み終わった。
「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」という副題のついたこの本、長編とはまた別の、カズオ・イシグロの才能と魅力にノックアウトされたのだった。
五つの物語はどれも音楽にまつわる話で、登場人物もミュージシャンが多い。けれど、そのミュージシャンたち、芽の出ないギタリストだったり、老いた歌手だったり、けっして演奏しないチェリストだったり・・・・・
そして、五つの物語に通奏低音のように流れるのは、男と女の黄昏、壊れかけた絆。
かといって、けっして深刻な話ではなく、「降っても晴れても」や「夜想曲」などは、お腹をよじって、涙を流して笑い転げた。主人公が偶々巻き込まれる、悪夢のような、シュールとさえいえる出来事は、まさしく人生の不条理さをあらわして滑稽。そして、すべての物語は、余韻を残しつつ終わるのである。
カズオ・イシグロの本は、「わたしを離さないで」「日の名残り」そして先日の「忘れられた巨人」に続いてこれが4冊目である。
そして今、いつもの悪いクセがむくむくと頭をもたげ、カズオ・イシグロ全点踏破ならぬ全作読破(といっても日本語訳があるものだけ)してみようか、などと思っている。
さいわい、カズオ・イシグロは寡作なので、そう多くはない。
実はもう、図書館から「充たされざる者」上下巻を借りていて、これから読むところである。
ただ、この「充たされざる者」、かなりのボリューム、さて、無事完読できるかどうか???
ちなみに、今日は迷わず草取りデス!