第150回芥川賞受賞作「穴」を、文春で読むハズがつい単行本を買ってしまった。
そして今日読んだわけなのだが・・・
穴に落ちることから不思議の国のアリスや日常の中の非日常ということでカフカの名前が出てきたりするが、まったく違う。
前半の派遣労働者として働く主人公のあまりにベタな日常描写、しかも長い。
それが夫の実家の隣に引っ越すことになり、同時に専業主婦になった彼女が、ある日姑に頼まれてコンビニに行く途中に見た奇妙な獣、そのあとを追いかけて穴に落ちるところから日常のなかに非日常が紛れ込む。
唐突に現れる夫の引きこもりの兄、雨の日でも庭に水を撒く義祖父、突然わいて出る子どもたちと、非日常を暗示するような人物が次々登場するのだが、最後はまた日常に戻りコンビニで働くようになるというオチ。
単行本なので、あと2編、というか1篇とその続篇が掲載されているのだが、そちらの方がちょっと不気味でなぜかゾクっとした。
日常と非日常の境目はどこにあるのか、考えたら今夜寝れなくなりそうなのでやめておく。