この忙しい歳の瀬に、いえ忙しいからこそ観たい「かぐや姫の物語」。
何もかも忘れて、物語の中で思う存分あそんだ2時間余であった。
お話は知ってはいるが、ちゃんと本を読んだかどうかの記憶はない。
竹から生まれたかぐや姫がやがて世にも美しい姫となり、群がる求婚相手を悉く突っぱね、育ててくれた翁と媼を残してやがて月へと帰ってゆく。
たったそれだけの話しといえば言えるのだが、何といっても絵に不思議なチカラがある。
今までのアニメとは一味違う、一コマ一コマがまるで一枚の絵なのである。
とくに風景は、美しい水彩画を見るようである。
月からやって来たかぐや姫が地球で見たものは?
鳥、虫、けもの、草、木、花などの命の輝きに満ちていた。
しかし、命は無限ではなく、やがてこの世を去ってゆく。
たとえそれがどんなに悲しく辛いことであっても、
生まれて、生きて、死んでゆくことはすばらしいと、思いたい。
今年を締めくくる映画として観てよかった、とつくづく思わせる映画。