第149回芥川賞受賞作「爪と目」を昨夜から読みはじめ、真夜中目覚めて読み終わった。
毎晩寝室をギンギンに冷やして本を読み、眠くなったらエアコンを消してすぐ寝る、という生活。
ところが、たまに真夜中暑さで目が覚めることがあり、本の続きを読むハメになる。
(今回は、単行本ではなく芥川賞掲載の文春で読んだので、本の画像は新潮社からお借りした)
三歳の女の子が、父の愛人から実母の死によって義母になろうとする年上の女を、あなたという二人称で語る。三人はやがて家族として一緒に暮らすようになるのだが、そこにいわゆる家族愛はない。
母の死以来女の子は爪を噛むようになる。また、父とあなたと呼ばれる女が出会ったのが眼医者であり、女はコンタクトレンズによる目の不調に悩まされている。
女の古本屋の男との浮気やネットショッピング中毒などがあるが、三人の関係は保たれる。とにかく、父の存在がすこぶる希薄なのである。
女の子の爪を噛む癖と、女のコンタクトレンズへのこだわりが思い切りイタイラストに収斂してゆくのだが、けっしてホラーではない。子どもがすべて無邪気で可愛いと信じる人はべつとして。
さて、この小説を読んで、自分の爪と目に思いを馳せたのだった。
まず爪、私はもちろん噛む癖はないが、いつも短く切っていないと気が済まない。
すこしでも伸びると落ち着かず、マニキュアはおろか今流行のネイルアートも一切しない。
また目、私もまた眼医者とだけは縁が切れないのである。
近視ではなかったのでコンタクトを使用したことはないが、しっかり老眼鏡のお世話になっている。
そればかりか、ドライアイから今はウエットアイへと次々問題が生じている。
ゆえに、この爪と目という小説は、ある意味、私にとっては身近な?テーマなのであった。
すくなくとも、鼻と耳よりは・・・・・