この本は読みたくなり買ったものの、先に話題の本をつぎつぎ読んでしまい、しばらく本棚で出番を待っていたのだが、読み始めると面白くて一気に読み終った。
それもそのハズ、現代最高の知性六人へのインタビュー集である。
内容は深くて濃いが、インタビュー集なので読み易く、素人にも解り易い。そして、私にとって今一番知りたいことがここでは語られている。すなわち、
人類の、あるいは世界のゆくえは?
科学は人間を幸せにできるのか?
情報化社会がもたらすものは?等など・・・
もちろん、六人の意見にはそれぞれ違いもあるのだが、考えるキッカケにもなり新たな興味が湧いてくる。
ただ一つ、世界のではなくアメリカ、しかもマサセッチュー工科大学関係者が多いという偏りは気になるところである。私的にはフランスのセルジュ・ラトゥーシュなんかも入れてほしい。(なぜなら、著書が難しすぎて読めず本棚のコヤシになってるから)
ざっと読んだだけでどこまで理解できているかは疑問だが、ごくごく簡単な紹介を。
ジャレド・ダイアモンド (文明の崩壊)
「銃・病原菌・鉄」でピューリッツアー賞を受賞、世界的ベストセラー作家である。本屋へ行くと必ず目にするのだが、実は恥ずかしながら読んでいない。
文明の崩壊というのは、意外にたやすく起こるという。その解決策は世界中の生活水準の均衡化以外にはなく、真の問題は人口増加ではなく、消費の増加である。
ノーム・チョムスキー (帝国主義の終わり)
生きている人の中ではおそらくもっとも重要な知識人と言われ、普遍文法の提唱者。反戦反暴力を貫き、アメリカ覇権主義をぎびしく批判している。
核抑止力は間違いで、唯一の解決策は核兵器をなくすことだと言い、核廃絶を主張。
また教育についても、創造性と創作力をのばす教育をすすめている。
オリバー・サックス (柔らかな脳)
脳障害を負った患者の個人物語をとおして、人間の脳の可塑性、柔軟性、可能性にせまってゆく。
細胞組織のレベルではほとんど違いはないが、ある程度以上になると我々は皆それぞれ違っている。映画にもなった「レナードの朝」の原作者でもあり、なぜか我家にこの方の「火星の人類学者」という本がある。
マービン・ミンスキー (なぜ福島にロボットをおくれなかったか)
人工知能分野の開拓者は、サッカーができるロボットより、原子力発電所の中で働けるロボットがなぜできなかったのかと嘆く。
トム・レイトン (サイバー戦線異状あり)
数学科教授から「アカマイ」と言う会社を立ち上げ成功した経験から、好奇心とやる気の大切さを、また我々の知らないところで繰り広げられるサイバー戦争の実態を知らされる。
今や核武装なんぞと言ってる時代ではなく、サイバー戦争こそが重要でオソロシイと気づく。
ジェームズ・ワトソン (人間はロジックより感情に支配される)
ノーベル生理学・医学賞を受賞、「二重らせん」が代表的な著書。
個人の大切さを説くと同時に、知性や理性よりも情熱が大切という。
だんだん尻すぼみになりアシカラズ。