粋でおしゃれな大人のおとぎばなし。
パリにあこがれ、パリに行ってみたい、できたら住んでみたい、と思った人は多いことだろう。
実は、私もその一人。
けれどこの映画が連れて行ってくれるのは、今のパリではない。
華の都、芸術の都と称えられた1920年代のパリ、そしてベル・エポックまで溯る。
ハリウッドで活躍中の脚本家ギルは、婚約者とその両親と一緒にパリにやってくる。
ギルは以前からパリに憧れ、パリに住んで小説家に転身することを夢見ている。
しかし、婚約者にも両親にも理解されず、鬱屈した気分でいる。
ある夜、一人パリの街を歩きまわるうち道に迷ってしまい、やがて真夜中になってしまう。
深夜0時の鐘が鳴ると、なぜか一台のクラシックカーがギルに近づき、乗れという。
そして、とある社交パーティに連れて行かれるのだが、それはジャン・コクトー主催のパーティだった。
おまけに、出迎えたのはフィッツジェラルド夫妻だったり、ヘミングウェイだったり、コール・ポーターだったり、ジョセフィン・ベイカーだったり・・・
ナント!ギルは1920年代にタイムスリップしているのだった。
しかも、奇跡は1夜では終わらない。
次の夜にはガートルード・スタインのサロンに行き、ピカソと愛人のアドリアナと出逢う。
アドリアナのあまりの美しさに、ギルはひと目で心奪われる。
夢のような3夜、4夜を過ごしたギルは、5夜にはアドリアナと一緒に1890年代へとタイムスリップ。
伝説のレストラン・マキシムで会ったのは、ロートレック、ドガ、ゴーギャンたちだった。
ギルにとってのゴールデンエイジが1920年代であるように、アドリアナにとってはベル・エポックだという。
しかし、ロートレックたちにとってのゴールデン・エイジはルネサンス時代なのだった。
人は現在よりも過去が輝いて見え、ノスタルジーを感じるいきものなのだろうか。
やがてギルは、夢から覚め、新しい人生を歩みだすのだった・・・・・