四国丸亀市・猪熊弦一郎現代美術館で開催中の、昨年11月から1年かけたプロジェクト、
杉本博司のアートの起源「科学」「建築」「歴史」に続く最終回「宗教」を観に行った。
前回の「歴史」に続いて2度目である。
「科学」「建築」を見逃したことは返すがえすも残念だが、何を隠そう、その名前さえ知らなかったのである。
それが今や、最も気になるアーティストとなったのはなぜか。ごく個人的には、杉本博司が写真からスタートしたことが、大きな理由となっている。
しかもその写真をひと目観て、シビレたのである。それは今まで観たこともない、写真の常識を覆すものであるにも拘らず、私の中で、写真が芸術になった瞬間だったのである。
杉本の写真は、ほとんどモノクロで、しかもフイルム写真である。そして、ボケボケだったり、なんの変哲もない水平線だったりする。それでも、その前に立つと不思議な感動に包まれるのである。
杉本の作品に触れて、私はある一つの想いを強くした。それは、芸術とは革命であるということ。社会体制のではなく、人々の常識、人間の固定観念を打ち砕く。
今回はほかに、京都三十三間堂1000体の千手観音像を自然光で撮影した「仏の海」や海景五輪塔等の作品が展示されている。
杉本は海景にこだわり世界中を周っているが、実は私もなぜか海が好きである。
難しい理屈はともかく、杉本ワールドを堪能、魅了されたのだった。
今日は、私にとっては三つの願いが叶った、シアワセな一日となった。
一つ目は、モチロン杉本博司の展覧会を観ること。
もう一つは、日頃乗らない電車に乗ること。
そして、三つ目は、大好きな海を見ること。
今日の瀬戸内海は波穏やかで、空を映してあくまで青く澄んでいた。
車中から何とか撮った写真です。