昨日、取り置きの本をもらいに本屋へ行った。
そして、ウロウロしてるうちに、佐野洋子さんの新刊文庫本を、ナント!4冊も見つけてしまった。
自分の好きなものは何でも、花でも本でも、なぜか見つけるもんである。
その4冊を全部迷わず買って帰り、4冊全部一気に読んだ。
佐野洋子さんが、ほんとうによみがえった心地がして、こんなうれしいことはない。
こんなピュアな女の子、そして恋の話があっただろうか、と思う。今までいろんな佐野さんを知っていたが、そのどれとも違う。
あの痛快なエッセイからは想像もできない純で無垢な心を持った主人公、しかしそれも紛れもない佐野さん自身なのである。
「人は誰でも人生の主人公なのだ。人生の主人公であることから降りることは出来ない。人生の主人公から降りないということは、自分の心に正直に素直でありつづけること、どんな時も、打算に走らないってことだと思う」
誰に対しても、何にたいしても、「コッコロから」。
ひとは誰でもかってはこどもだった。
そのこどもの頃の気持ち、不思議なできごとが
いきいきと甦ってくるような7つの物語。
佐野さんの挿絵がたっぷり入った、ぜいたくな絵本。
こどもから、こどもだったことを忘れないおとなにも、
幅広く楽しめます。
この本はガラっと変わって、いわゆる「おとぎ話」のパロディ集である。佐野さん独特の毒気とユーモアにあふれていて思わず笑ってしまう。
たとえば、シンデレラは打算的で野心的な娘で、まま母の方がほんとは被害者であったり、眠り姫は100年目に王子のキスで目覚める前に、何度か目覚めては相手を選んでいたりする。
また、乙姫さまの口から語られる浦島太郎は、無神経で厚かましい若さだけが取り柄の男だったり、こぶとりじいさんは、こぶがなくなってがっかりしたおばあさんの語りである。
佐野さんはきっと、嘘やきれいごとが嫌いなんだと思う。
29編のショートストーリ―集。
おとなのためのファンタジーというよりはシュールな物語。
まるでいつか夢でみたような心地さえする。
絵本、エッセイのほかにこんな作品があったとは・・・
今回4冊の本を読んで、あらためてその多才さに驚き
感動さえしたのだった。