村上春樹の本は、ある時期ほとんど読んだのだが、この本はなぜか読んでなかった。
連作「地震のあとで」と題され、表題作「神の子どもたちはみな踊る」ほか、全六篇の短編が収められている。
阪神淡路大震災後の1999年に書かれ、翌年出版されたものである。
表だって震災が描かれるわけではないが、それはまるで料理の隠し味みたいに作品を味つけている。
ここに登場する人々は、自ら震災に遭ってはいないが、目に見えない被災をしている。
中には「かえるくん、東京を救う」のような寓話みたいな作品もあり、思わず笑ってしまう。
本も、その時期と自分の気持ちを選ぶようである。
あれ以来、何冊かの本を読んではいるが、どれも何かしっくりこないのだった。
そして今、あらためて物語のチカラと村上春樹のスゴサを実感したのだった。