東野圭吾の本は一冊も読んだことがない。
特にこの「白夜行」は、本を手に取ったことはあるが、あまりの長さにたじろいだのだった。
映画化のことを知り、本を読む替りに映画を観とこ、なんぞと考えたのである。
実は、予告編をべつの映画の上映の折に観ている。
けれど、それ以外はいっさい予備知識はないのだった。
予習をしない主義を貫いているのだが、今回はそれがよかったように思う。
この映画に限り、ゼッタイネタバレは禁物である。
モチロン、どの映画もそうかもしれないが、白夜行には衝撃の真実が隠されているからである。
なので、ストーリーも省略、ということに。。。
原作を知らないので映画として観れば、2時間を超える長さを感じない、緊張感はあった。
あの長い原作を2時間少々に纏めるのは至難の業だったろうと思う。
それでも、ミステリー映画として、原作に負うところは大きいにしても、面白く仕上がっているのでは?
特に、船越栄一郎演じる刑事が、この映画全体を引き締め、あるいは人間性の拠り所となっている。
一人の人間として、出世から見放されながらも、愚直なまでに真実を追い続ける刑事。
この昏く、やるせない物語の唯一の救いであるように思われる。
堀北真希演じる雪穂という女性、悪女というよりは人間の感情を喪失した、ロボットみたいである。
清純な容姿の裏にある闇を、無表情が押し隠すかのようである。
しかし、誰が彼女を責めることができるのだろう。
怖いというよりは切ない映画である。
ただ一つ、私的には、最後に雪穂の一筋の涙を観たかった。