この本は、ゆっくりじっくり、楽しみながら読むつもりが、面白くて一気に読んでしまった。
ある女性作家の日記、というスタイルで書かれた小説。
日記というノンフィクションの世界が、いつの間にか物語のフィクションの世界に変わっているという不思議。
日常と非日常、現実と夢、そして生と死の区別さえ曖昧である。
また、この女性作家にしても、地味で控えめでありながら、けっこう好奇心旺盛で、ちょっぴり毒もある。
怪しい?苔料理を食べたり、小学校の運動会、子泣き相撲、現代アートの祭典へとしょっちゅう出かけたりもする。
あらすじ名人という特技を持ってはいるのだが、自分の原稿は遅々として進まず、ほとんどの日が原稿零枚、というわけである。
ただ読者にとっては、どこまでが日記でどこまでが創作なのかさえ分からない、という仕掛け。
今まで読んだ何冊かの小川作品の中で、ひょっとしたらこれが私的には一番好きかも・・・
そのわけは、私にとってこの日記はそう違和感がないばかりか、この感じよく解る気がする。
あれは現実だったのかそれとも夢だったのか、ときどきわからなくなったりするのである。
もっとゆっくり読めばよかった、と今つくづく後悔してる。
次に読む本探さんとあかんやん。。。