たまに、友人と本の貸し借りをする。
すると、ちょっと読んでみたいけど自分で買うほどでは・・・、と思ってた本が読めたり、
自分ではまず選ばないような本が読めたりして、それもまた楽し、と思う。
桜庭一樹の新刊「道徳という名の少年」。
一口でいうと、凝った装丁、エロティックな挿絵の大人の絵本である。モチロン内容も、背徳的で残酷だけど全編に通じるのは滅びの美学である。
5編に分かれてはいるが、それぞれの話は別ではなく連なっている。
なんせ絵本なので短く、すぐに読め、立ち読みもできるくらいである。
ただ、この本は家で、本の世界にひたりながら一人でひっそりと読む本、なのかもしれない。
オビの惹句によると、
極彩色のファンタジック連作集!!
エロスと、魔法と、あふれる音楽!! 甘美な滅びの物語集、とある。
こちらはぐっとさわやか。
表題の「パスタマシーンの幽霊」を含む22編の短編集である。
どこにでもありそうな話と不思議な話がビミョーに混在、あるいは、フツーとヘンの境目があいまい。
若いカップルやそーでないカップルが登場するのだが、アツアツラブラブではなく、片思いや不倫や別離が多い。
それでも、けっしてドロドロせず、どの話も私がハマってる小夏みたいに爽やかな味で、おまけにちょっと、切ない。
幸福と不幸、男と女、現実と非現実の区別さえなくなり、ただ人が生きる悲しみのようなものが通奏低音のように聞こえる。
夜明けの読書向き?
この本は自分ではたぶん読まない本。
NHKのドラマも見ていない。
それでも、読みだしたら一気に読んだ。
実は私、ゲゲゲの鬼太郎のマンガもアニメも見たことない。
モチロン、詳しくはないがだいたいのことは知っている(つもり)。
この本で、つげ義春が水木しげるの弟子?であったことを知って驚いた。
そして、急に水木しげるに親近感が湧いたりするのだった。(逆ですが)
映画「RAILWAYS」で島根へ行きたくなり、この本を読むと鳥取へ行きたくなり、これはもー、山陰へ行くっきゃない!と思う今日この頃です。