雨も上がり天気も良くなってきたので、岡山へ「日本伝統工芸展」を観に行ってきた。
伝統工芸というのは、言ってみれば民芸の対極にある特権階級の道楽物ではないかと、しばらく足が遠のいていた時期もあったのだが、いつの間にか最近はまた観に行くようになっている。
特権階級のものであれ何であれ、美しいものは美しいのだから・・・
それにしても、ただの道具に過ぎない箱や食器や着物を、意匠を凝らし、持てる技を駆使し、根かぎり手を加えて美しい美術品にしてしまう人間の不思議さよ。
ただ実用に供するだけでは満足しない、美に対する執着のようなものがありありと感じられる。
伝統工芸展に並ぶ品々は、今となっては特権階級の物というよりは、時代を超えて受け継がれてきた技を披露し、それを次の世代へ遺すということに意味があるのかもしれない。
はるか昔、2足歩行によって前足を開放した私たち人類は、時には殺し合いもするが、こんな美しい道具を作ることもできる存在なんだと、つくづく思う。